====== 118[V(ら)れる] ======
===== 基本情報 =====
旧JLPT該当級:3\\
品詞: 助動詞[[用語の説明|【用語の説明】]]\\
前接: V(動詞)否定形[[⑥動詞活用|⑥[動詞活用] ]][[用語の説明|【用語の説明】]]\\
意味:1 受け身\\
2 可能(グループ2の動詞、グループ3「来る」)\\
3 敬語
===== 使い分けが必要な文法・文型 =====
・V(さ)せる[[29v_さ_せる|29[V(さ)せる]]]\\
・V(さ)せられる(※Vさ(せら)れる)[[28v_さ_せられる|28[V(さ)せられる]]]\\
・Vてもらう[[63vてもらう|63[Vてもらう](Vていただく)]]\\
・Vることができる[[23vことができる|23[Vことができる](できない)]]\\
・敬語[[⑪敬語|⑪[敬語]]]
===== 文型を使う上で理解が必要な情報 =====
・**動詞のグループ(辞書形)**\\
動詞グループ1\\
・か**う**、ま**つ**、と**る** など \\
・よ**む**、よ**ぶ**、し**ぬ** など\\
・か**く**、およ**ぐ** など\\
・はな**す** など\\
動詞グループ2\\
・たべ**る**、ね**る** など\\
・み**る**、おき**る** など\\
動詞グループ3\\
・する\\
・くる\\
\\
**動詞:(ら)れる形**[[⑥動詞活用|⑥[動詞活用] ]]
^形^ グループ1 ^^^^ グループ2 ^^ グループ3 ^^
^辞書形|とる|よむ|かく|はなす|たべる|みる|する|くる|
^(ら)れる形|とら**れる**|よま**れる**|かか**れる**|はなさ**れる**|たべ**られる**|み**られる**|**できる**|**こられる**|
\\
・**有情物/無情物**\\
有情物=人、動物\\
無情物=もの、こと\\
\\
・**動詞のタイプ**:自動詞/他動詞[[⑧動詞のタイプ|⑧[動詞のタイプ]]]
===== 機能 =====
==== 機能1★: 受け身 ====
==== 用法1:直接受け身① ====
**【N1は(/が)N2に(N3を)V(ら)れる】←【N2は(/が)N1をVる】/【N2は(/が)N1にN3をVる】**\\
**・N1、N2=有情物**\\
**・N2に**\\
**・動詞のタイプ=他動詞**
=== 機能1用法1①用例: ===
例1.私は母に叱られた。←母は私を叱った。\\
例2.私は母に買い物を頼まれた。←母は私に買い物を頼んだ。\\
例3.田中さんは先生にほめられた。←先生は田中さんをほめた。\\
例4.友だちが知らない人に道を聞かれた。←知らない人が友だちに道を聞いた。
==== 用法1:直接受け身② ====
**【N1は(/が)N2によってV(ら)れる】←【N2は(/が)N1をVる】**\\
**・N1=無情物(もの)**\\
**・N2によって**\\
**・動詞のタイプ=他動詞(「創造する」という意味のある動詞)**
=== 機能1用法1②用例: ===
例5.この本は村上春樹(むらかみはるき)によって書かれた。←村上春樹(むらかみはるき)がこの本を書いた。\\
例6.この絵はピカソによって描かれた。←ピカソがこの絵を描いた。\\
例7.大阪城は豊臣秀吉(とよとみひでよし)によって建てられた。←豊臣秀吉(とよとみひでよし)が大阪城を建てた。
==== 用法2:間接受け身〈持ち主の受け身〉 ====
**【N1は(/が)N2にN3をV(ら)れる】←【N2は(/が)N1のN3をVる】**\\
**・N1、N2=有情物**\\
**・N2に**\\
**・N3はN1の所有物**\\
**・動詞のタイプ=他動詞**
=== 機能1用法2用例: ===
例8.私は先生に子どもをほめられた。←先生は私の子どもをほめた。\\
例9.私は弟にゲームを壊された。〈迷惑の意味〉←弟は私のゲームを壊した。\\
例10.田中さんは犬に手をかまれた。〈迷惑の意味〉←犬は田中さんの手をかんだ。
==== 用法3:間接受け身〈迷惑受け身〉 ====
** 【N1は(/が)N2にV(ら)れる】←【N2は(/が)Vる】** \\
**・N1=有情物**\\
**・N2に**\\
**・動詞のタイプ=自動詞**\\
**・意味=迷惑**
=== 機能1用法3用例: ===
例11.(私は)雨に降られた。〈迷惑の意味〉←雨が降った。\\
例12.夕べ、(私は)友だちに来られて、テストの勉強が出来なかった。〈迷惑の意味〉←夕べ、友だちが来た。テストの勉強が出来なかった。
==== 用法4:ものの受け身〈一般的なできごと〉 ====
** 【N1は(/が)V(ら)れる】←【N2は(/が)N1をVる】** \\
**・N1=無情物(もの・こと)**\\
**・N2×**\\
※一般的に/皆\\
**・動詞のタイプ=他動詞**
=== 機能1用法4用例: ===
例13.オリンピックが東京で開かれた。←【一般的】オリンピックを開いた。\\
例14.この本は世界中で読まれている。←【一般的に/皆】この本を読んでいる。
==== 用法5:素材の受け身 ====
**【N1は(/が)N2で/からV(ら)れる】←【N1をN2で/からVる】** \\
**・N1=無情物**\\
**・N2(素材)で/から**\\
**・動詞のタイプ=他動詞**
=== 機能1用法5用例: ===
例15.とうふは大豆で/から造られる。←とうふを大豆で/から造る。
==== 用法6:自発 ====
**【N1は(/が)~とV(ら)れる】**\\
**・N1=無情物(もの・こと)**\\
**・動詞のタイプ=他動詞**\\
※「自発」によく使う動詞:思う、考える、言う\\
=== 機能1用法6用例: ===
例16.世界の人口が増えていると言われる。\\
例17.地震による被害が多いと思われる。\\
\\
**まとめ**
^用法^受け身のタイプ^動詞のタイプ^N1:有情物/無情物^N2の助詞^
|1①|直接|他動詞|有情物|に|
|1②|直接|他動詞|無情物|によって|
|2|間接:持ち主|他動詞|有情物|に|
|3|間接:迷惑|自動詞|有情物|に|
|4|もの|他動詞|無情物| |
|5|素材|他動詞|無情物|で/から|
|6|自発|他動詞|無情物|
=== 機能1と使い分けが必要な文法・文型: ===
・V(さ)せる\\
・V(さ)せられる(※Vさ(せら)れる)\\
・Vてもらう
=== 機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い: ===
**V(さ)せる(使役):N1が働きかける、N2がする**\\
例)お母さん(N1)が子ども(N2)に本を読ませる。→お母さんが働きかける。子どもが読む。\\
**V(さ)せられ る/Vさ(せら)れる(使役の受け身):N1がする、N2が働きかける**\\
例)私(N1)は母(N2)に本を読ませられる/読まされる。→私は読む。母が働きかける。\\
**V てもらう:N2がする、N1が恩恵を受ける**\\
例)子ども(N1)はお母さん(N2)に本を読んでもらった。→お母さんが本を読んだ。子どもはお母さんが本をこんだことの恩恵を受けた。\\
**V(ら)れる(受け身):N2がする、N1が迷惑/恩恵を受ける**\\
例)私(N1)は母(N2)にメールを読まれた。→母がメールを読んだ。私は母がメールを読んだことで迷惑を受けた。\\
例)よう子ちゃん(N1)は、小さいころ、みんな(N2)にかわいがられた。→みんながよう子ちゃんをかわいがる。よう子ちゃんはみんながかわいがることの恩恵を受けた。\\
==== 機能2★: 可能(グループ2の動詞、グループ3「来る」) ====
**可能形**[[⑥動詞活用|⑥[動詞活用] ]]
^ グループ1 ^^^^ グループ2 ^^ グループ3 ^^
|かう|よむ|かく|はなす|たべる|みる|する|くる|
|か**える**|よ**める**|か**ける**|はな**せる**|※たべ**られる**|※み**られる**|※**できる**|※**こられる**|
=== 機能2用例: ===
例18.私は10時間寝られる。\\
例19.私は辛い料理は食べられない。\\
例20.図書館で本が10冊借りられる。
=== 機能2と使い分けが必要な文法・文型: ===
・Vることができる
=== 機能2と使い分けが必要な文法・文型の違い: ===
・「**ことができる**」と「**可能形**」はほとんど違いがなく、置き換えが可能であるが、フォーマルな会話では「**ことができる**」が用いられる。
=== 機能2と使い分けが必要な文法・文型の用例: ===
例21.私は10時間寝ることができる。\\
例22.私は辛い料理は食べることができない。\\
例23.図書館で本が10冊借りることができる。
==== 機能3★: 敬語(尊敬語) ====
=== 機能3用例: ===
例24.もう、北海道に行かれましたか。\\
例25.日本語を話されますか。\\
例26.この本を読まれましたか。
=== 機能3と使い分けが必要な文法・文型: ===
・尊敬語:特別な形、お~になります
=== 機能3と使い分けが必要な文法・文型の違い: ===
・「**V(ら)れる**」による尊敬語と、**尊敬語の特別な形**、「**お~になります**」は違いがなく、置き換えが可能である。\\
例)もう、北海道に**いかれました**か。\\
例)もう、北海道に**いらっしゃいました**か。\\
例)この本を**読まれました**か。\\
例)この本を**お読みになりました**か。
===== コラム =====
➣「Vられる」には三つの意味が重なることがあるので、区別は、文法(助詞など)か文脈によって可能となる。\\
例)妹**に**ケーキ**を**食べられた。→受け身(迷惑)\\
例)甘い物**が**食べられますか。→可能\\
例)田中さん**は**甘い物**を**食べられます。→尊敬語\\
\\
➣「**ら抜き**」ことば\\
話しことばでは、グループ2の動詞の「可能形」で、「ら」を抜くことができる(「ら抜き」ことば)。\\
例)食べられる>食べれる
===== 確認問題 =====
1 このオペラは、モーツァルト{a.に b.から c .によって}作曲された。 \\
2 となりにいた人に{a.私の足を b.私は足を c.私に足を}ふまれた。\\
3 母にべんとうを{a.作られました b.作ってもらいました}。\\
4 田中さんにボイフレンドの手紙を見られた。{見られた=a.敬語 b.受け身 c.可能}
===== 確認問題の説明 =====
1 cf.機能1用法1② \\
2 cf.機能1用法2\\
3 cf.機能1\\
4 cf.機能1用法2、コラム