====== 53[Vてから] ======
===== 基本情報 =====
1.旧JLPT該当級:4\\
2.品詞: 文型[[用語の説明|【用語の説明】]]\\
3.前接: V(動詞)**て**形[[⑥動詞活用|⑥[動詞活用] ]]\\
4.意味: 1時間の前後関係、動作の順、継続\\
2起点
===== 使い分けが必要な文法・文型 =====
・1Vたあとで[[2あとで|2[あと(で)]]]\\
・1、2Vて[[46vて|46[Vて]]]\\
・1Vるまえに[[98まえに|98[まえに]]]\\
・1Vたとき[[70とき_に|70[とき(に)]]]\\
・1たら[[41たら|41[たら]]]
===== 文型を使う上で理解が必要な情報 =====
・**主節/従属節**[[⑬文のタイプ|⑬[文のタイプ]]]\\
主節のできごと=Q\\
従属節のできごと=P\\
\\
__授業が終わって__から、__映画に行きました__。\\
P Q\\
===== 機能 =====
==== 機能1★:時間の前後関係、動作の順、継続 ====
**[V1て(P)から~V2(Q)]:PをするまでQをしない。Pを強調する。PとQが継続する(Pのできごとの終了後に、引き続いてQが起こる)。** \\
=== 機能1用例: ===
例1.歯をみがいてから、寝なさい。\\
例2.手をしょうどくしてから、教室に入ってください。\\
例3.子ども:「お母さん、今、ゲームやってもいい?」\\
お母さん:「だめ。宿題をやってから、(ゲームを)やりなさい。」\\
例4.日本に来てから、すぐに結婚した。\\
=== 機能1と使い分けが必要な文法・文型: ===
・Vたあとで\\
・Vて\\
・Vるまえに\\
・Vたとき\\
・たら
=== 機能1と使い分けが必要な文法・文型の用例: ===
例5.食事をしたあと(で)、ずっとテレビを見ている。\\
例6.授業が終わったあと(で)、映画を見に行く。\\
例7.うちに帰って、ごはんを食べる。\\
例8.部屋を出るまえに、電気を消す。\\
例9.日本へ来るまえに、日本語を勉強した。\\
例10.ごはんを食べたとき、「ごちそうさまです」と言います。\\
例11.日本へ来たときに、おみやげを買った。\\
例12.うちに帰ったら、ごはんを食べる。\\
例13.ごはんを食べたら、「ごちそうさまです」と言います。
=== 機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い: ===
V1た(P)あとで~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの前後関係)\\
V1る(P)まえに~V2(Q) V2(Q)→V1(P)(PとQの前後関係)\\
V1て(P)から~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの継続)\\
V1て(P)~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの順)\\
V1たとき(P)~V2(Q) V1(P)→V2(Q)(Pの時点のあとQ)\\
V1たら(P)V2(Q) V1(P)→V2(Q)(PとQの前後関係)\\
V1(P)が成立するとV2(Q)も成立する\\
\\
**※「V1て(P)から~V2(Q)」と「V1た(P)あとで~V2(Q)」**\\
「V1た(P)あとで~V2(Q)」:P→Qという時間の前後関係\\
「V1て(P)から~V2(Q)」:PをするまでQをしない;Pを強調する;PとQが継続する\\
\\
**①「V1て(P)から~V2(Q)」のほうがいい:PとQの継続**\\
例) 歯をみがいてから、寝なさい。\\
例)#歯をみがいたあとで、寝なさい。\\
例) 手をしょうどくしてから、教室に入ってください。\\
例)#手をしょうどくしたあとで、教室に入ってください。\\
\\
**②「V1た(P)あとで~V2(Q)」のほうがいい:PとQの前後関係**\\
例)#1時間かけて掃除してから、子供に部屋を汚された。\\
例) 1時間かけて掃除したあとで、子供に部屋を汚された。\\
\\
**③「V1て(P)から~V2(Q)」しか使えない:Pが起点** cf.機能2\\
例) 私がこの会社で働き始めてから、もう3年が経った。\\
例)#私がこの会社で働き始めたあとで、もう3年が経った。\\
※**「Vてから」と「たら」**\\
**「Vてから」:時間的前後関係**\\
**「たら」:時間的前後関係+条件**\\
(cf.例3)\\
例)子ども:「お母さん、今、ゲームやってもいい?」\\
お母さん:「だめ。宿題をやってから、(ゲームを)やりなさい。」\\
⇒「宿題→ゲーム」の順\\
例)子ども:「お母さん、ゲームやってもいい?」\\
お母さん:「だめ。宿題をやったら、(ゲームを)やりなさい。」\\
⇒「宿題が終わる」ことが「ゲームをやる」ための条件
==== 機能2★:ある変化や継続的なことの始まり(起点) ====
=== 機能2用例: ===
例14.私がこの会社で働きはじめてから、もう3年がたちました。\\
例15.大学生になってから、アルバイトを始めた。\\
例16.朝起きてから、家を出るまで1時間かかる。\\
例17.先週かぜをひいてから、ずっと体調が悪い。\\
=== 機能2と使い分けが必要な文法・文型: ===
・Vて\\
=== 機能2と使い分けが必要な文法・文型の違い: ===
※「**V1て(P)**」「**V1て(P)から**」の大きな違いはないが、「V1て(P)から」を使ったほうが起点がよりはっきりする。\\
例)私がこの会社で働き始めてから、もう3年が経った。\\
例)私がこの会社で働き始めて、もう3年が経った。\\
例)大学生になってから、アルバイトを始めた。\\
例)大学生になって、アルバイトを始めた。\\
例)朝起きてから、家を出るまで1時間かかる。\\
例)朝起きて、家を出るまで1時間かかる。\\
\\
※「V1て(P)から~V2(Q)」は、P・Qの前後の関係をはっきりと示すが、「V1て(P)~V2(Q)」には、「P→Q」か「PとQ」のあいまいさが残る。\\
例)Aさんがピアノをひいてから、Bさんが歌を歌った。 P→Q\\
例)Aさんがピアノをひいて、Bさんが歌を歌った。 P→Q、PとQ
===== コラム =====
➣「V1て(P)から」はQには**状態**を表す文は使えないが、「V1た(P)あとで」はQに**状態**を表す文が使える。\\
例)#パーティーが終わってから、部屋はごみで**いっぱいになっていた**。\\
例) パーティーが終わったあとで、部屋はごみで**いっぱいになっていた**。\\
\\
➣「いつするのか」という**時を表す**とき、「V1て(P)から」は使えるが、「V1た(P)あとで」は使えないことがある。\\
例) 受け付けは5時からです。**5時になって**から、来てください。\\
例)#受け付けは5時からです。**5時になった**あとで、来てください。\\
例) **朝になって**から、私たちは出発した。\\
例)#**朝になった**あとで、わたしたちは出発した。\\
\\
➣「V1た(P)あとで~V2(Q)」のV2(Q)に、**命令形**や**意志形**は使いにくいが、「V1て(P)から~V2(Q)」のV2(Q)に、**命令形**や**意志形**は使える。\\
例)#お金をためたあとで、旅行に**行こうと思っています**。\\
例) お金をためてから、旅行に**行こうと思っています**。\\
\\
**まとめ**
| |V1てから~V2|V1たあとで/とき~V2|V1て~V2|V1るまえに~V2|
|動作の順\\ V1(P)→V2(Q)|〇|〇|〇| |
|動作の順\\ V2(Q)→V1(P)| | | |〇|
|時間の前後関係\\ V1(P)→V2(Q)|〇|〇|〇| |
|時間の前後関係\\ V2(Q)→V1(P)| | | |〇|
|PとQの継続\\ V1(P)→V2(Q)|〇| | | |
|起点を示す\\ V1(P)→V2(Q)|〇| | | |
|Qに状態を表す文| |〇| | |
|いつするか|〇| | | |
|Qに命令形や意志形|〇|(〇【V1たときV2】) | | |
===== 確認問題 =====
1 日本に{a.来たあとで b.来てから}、1年になります。\\
2 電気を{a.つけたあとで b.つけてから}、部屋に入りなさい。\\
3 スリッパを{a.ぬいだあとで b.ぬいでから}和室に入る。\\
===== 確認問題の説明 =====
1 cf.機能2\\
2 cf.機能1、コラム\\
3 cf.機能1、コラム\\