111[ようだ]
基本情報
使い分けが必要な文法・文型
機能
機能1★:推量(根拠に基づく話し手の判断・推量)
機能1用例:
例1.きょう、雨が降るようだ。
例2.部屋の電気がついていないので、山田さんはまだ帰っていないようだ。
例3.子どもがケーキをおいしそうに食べている。そのケーキはおいしいようだ。
例4.山田さんはお酒が好きなようだ。
例5.あの人は日本語がわからない。外国人のようだ。
機能1と使い分けが必要な文法・文型:
・そうだ(様態)
・そうだ(伝聞)
・らしい
機能1と使い分けが必要な文法・文型の用例:
例6.きょう、雨が降りそうだ。
例7.本がたなから(すぐ/今にも)落ちそうだ。
例8.このパソコンは古いですが、まだ使えそうです。
例9.このケーキはおいしそうだ。
例10.田中さんは、ひまそうだ。
例11.きょう、雨が降るそうだ。
例12.今年は、雪が少ないそうだ。
例13.田中さんは、今週末、ひまだそうだ。
例14.山田さんのとなりにいるのは山田さんの弟だそうだ。
例15.きのう、北海道で地震があったらしい。
例16.今年は、雪が少ないらしい。
例17.田中さんは、今週末、ひまらしい。
例18.山田さんのとなりにいる人は山田さんの弟らしい。
機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い:
そうだ【様態】:①話し手が兆候や外観から判断する・予想することを伝えるのに使う。→例6,例8、例9、例10
②できごとがこれから(すぐ/今にも)起こる可能性【直前】→例7
そうだ【伝聞】:話し手が他の人から聞いたり、本で読んだりした情報(客観的な根拠)を伝えるのに使う。話すときに使う。→例11-14
らしい:①「そうだ」(伝聞)と「ようだ」の中間。 「そうだ」(伝聞)より「伝聞」のニュアンスが弱い。
話し手が他の人から聞いたり、本で読んだりした情報(客観的な根拠)に自分の判断を加えて情報を伝えるのに使う。
※無責任なニュアンスを帯びやすいので、責任を持って、判断を述べなければならない場合には不適切である。
例)【医者が患者に】#かぜらしいです。薬を飲んでください。
例)【医者が患者に】 かぜのようです。薬を飲んでください。
②(Nらしい)そのものの典型的な性質をもっている【比況】
例)子どもらしい子ども
ようだ:①根拠に基づく話し手の判断・推量を表すのに使う。【判断/推量】
②他のものに例えるときに使う。【比況】cf.機能2
※「そうだ」(様態)と「ようだ」の違い
・前接
そうだ:V連用形(ます形)⑥[動詞活用] 、A(い、な)(Nとは使えない;過去形には接続しない)
ようだ:V普通体/A普通体/N(の/普通体⑩[文体])
・意味
「そうだ」
Vそうだ :①話し手の判断・予想
②できごとがこれから(すぐ/今にも)起こる可能性【直前】
Aそうだ:外観からの今の様子についての推測
「ようだ」
「V/Aようだ」:話し手は根拠か兆候の存在から判断・推量する。
例)あの人は日本語がわからない【根拠】。外国人のようだ。/#外国人そうだ。
例)【ケーキを見て(外観)】このケーキはおいしそうだ。
例)【子どもがケーキをおいしそうに食べているのを見て(根拠)】このケーキはおいしいようだ。
例)【傘をさしている人がたくさんいるのを見て(根拠)】雨が降っているようだ。/#降っていそうだ。
例)【空の様子から(根拠/外観)】これから雨が降るようだ/降りそうだ。
例)【部屋は静かだ(根拠)】子どもは寝ているようだ。/#子どもは寝ていそうだ。
例)本がたなから(いつかわからないけど、これから)落ちるようだ。/本がたなから(もうすぐ)落ちそうだ。
例)【根拠】電気がついている。山田さんはいるようだ。/#山田さんはいそうだ。
機能2★:【Nのようだ】比況(似ている状況やものに例える)
例19.あの子は人形のようだ。
例20.このお茶はくだもののようなにおいがする。
例21.あの人はロボットのように歩く。
機能2と使い分けが必要な文法・文型:
・らしい
機能2と使い分けが必要な文法・文型の用例:
例22.子どもらしい子ども。
例23.今年の冬は暖かくて、冬らしくない。
機能2と使い分けが必要な文法・文型の違い:
【Nらしい】:比況(そのものの典型的な性質をもっている)
【Nのようだ】:比況(似ている状況やものに例える)
まとめ
前接 | 後続 | 意味 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
V/A/N | 過去形 | N/V | 伝聞 | 根拠からの 判断/推量 | 兆候(外観) からの 判断/推量 | 比況 | |
そうだ 【伝聞】 | V/A/N | 〇 | × | 〇 | |||
らしい | V/A/N | 〇 | N/V | 〇 | 〇 | 〇 | |
ようだ (ような) | V/A/N | 〇 | N/V | 〇 | 〇 | ||
そうだ (そうな) 【様態】 | V/A | × | N/V | 〇 |
きょうは、雨が降るそうだ。←他から得た情報(客観的な根拠・証拠)【伝聞】
きょうは、雨が降るらしい。←他から得た情報(客観的な根拠・証拠)に話し手の判断を加える【伝聞+判断】
きょうは、雨が降るようだ。←話し手の判断・推量【判断/推量】
きょうは、雨が降りそうだ。←徴候の存在のもとで(見たままの様態から)の話し手の判断・予想【判断/予想】
コラム
➣N/Vに接続できる
・~ようなN
例)くだもののようなにおい
・~ようにV
例)ロボットのように歩く
➣話しことばでは、「みたい」(「みたいだ」「みたいな」「みたいに」)を使う。
・V/いA普通形みたいだ
・Nみたいだ
・なA(な)みたいだ
例)雨が降ったみたいだ。
例)あしたの天気はいいみたいだ。
例)あの子は人形みたいだ。
例)田中さんは元気みたいだ。
例)人形みたいな子
例)ロボットみたいに歩く
➣「ようだ」は、普通、はっきりわからないことの推量に使うが、はっきり分かっていても、直接的な言いかたを避けるために使う場合もある(「婉曲的な使い方」)。
例)雨が降ってきた。【明確な言いかた】→雨が降ってきたようだ。【婉曲的な言いかた】
例)時間です。【明確な言いかた】→時間のようです。【婉曲的な言いかた】