34[そうだ]①
基本情報
使い分けが必要な文法・文型
機能
機能1★:様態
話し手が兆候や外観から人・ものの様子やできごとが起こる可能性について判断する(予想する)
「Vそうだ」:①話し手の判断・予想→例1、例3
②できごとがこれから(すぐ/今にも)起こる可能性【直前】→例2
「Aそうだ」:外観からの今の様子についての推測→例4,例5
機能1用例:
例1.きょう、雨が降りそうだ。
例2.本がたなから(すぐ/今にも)落ちそうだ。
例3.このパソコンは古いですが、まだ使えそうです。
例4.このケーキはおいしそうだ。
例5.田中さんは、ひまそうだ。
機能1と使い分けが必要な文法・文型:
・そうだ(伝聞)
・らしい
・ようだ
・だろう/でしょう
機能1と使い分けが必要な文法・文型の用例:
例6.きょう、雨が降るそうだ。
例7.今年は、雪が少ないそうだ。
例8.田中さんは、今週末、ひまだそうだ。
例9.山田さんのとなりにいるのは山田さんの弟だそうだ。
例10.きのう、北海道で地震があったらしい。
例11.今年は、雪が少ないらしい。
例12.田中さんは、今週末、ひまらしい。
例13.山田さんのとなりにいる人は山田さんの弟らしい。
例14.きょう、雨が降るようだ。
例15.部屋の電気がついていないので、山田さんはまだ帰っていないようだ。
例16.子どもがケーキをおいしそうに食べている。そのケーキはおいしいようだ。
例17.山田さんはお酒が好きなようだ。
例18.あの人は日本語がわからない。外国人のようだ。
例19.きょう、雨がふるだろう(/でしょう)。
例20.あの人は日本人じゃないだろう(/でしょう)。
機能1用法1と使い分けが必要な文法・文型の違い:
そうだ【様態】:①話し手が兆候や外観から判断する・予想することを伝えるのに使う。
②できごとがこれから(すぐ/今にも)起こる可能性【直前】
そうだ【伝聞】:話し手が他の人から聞いたり、本で読んだりした情報(客観的な根拠)を伝えるのに使う。話すときに使う。
らしい:①「そうだ」(伝聞)と「ようだ」の中間。 「そうだ」(伝聞)より「伝聞」のニュアンスが弱い。
話し手が他の人から聞いたり、本で読んだりした情報(客観的な根拠)に自分の判断を加えて情報を伝えるのに使う。
※無責任なニュアンスを帯びやすいので、責任を持って、判断を述べなければならない場合には不適切である。
例)【医者が患者に】#かぜらしいです。薬を飲んでください。
例)【医者が患者に】 かぜのようです。薬を飲んでください。
②(Nらしい)そのものの典型的な性質をもっている【比況】
例)子どもらしい子ども
ようだ:①根拠に基づく話し手の判断・推量を表すのに使う。【判断/推量】
②(Nのようだ)他のものに例えるときに使う。【比況】
例)あの子は人形のようだ。
だろう(でしょう):話し手が予想していることを伝えるのに使う。根拠があってもなくてもよい。
※「そうだ」(様態)と「ようだ」の違い
・【前接】
「そうだ」:V連用形(ます形)⑥[動詞活用] 、A(い、な)(Nとは使えない;過去形には接続しない)
「ようだ」:V普通体/A普通体/N(の/普通体)⑩[文体]
・【意味】
「そうだ」
Vそうだ :①話し手の判断・予想
②できごとがこれから(すぐ/今にも)起こる可能性【直前】
Aそうだ:外観からの今の様子についての推測
「ようだ」
V/Aようだ:話し手は根拠か兆候の存在から判断・推量する。
例)あの人は日本語がわからない【根拠】。外国人のようだ。/#外国人そうだ。
例)【ケーキを見て(外観)】このケーキはおいしそうだ。
例)【子どもがケーキをおいしそうに食べているのを見て(根拠)】このケーキはおいしいようだ。
例)【傘をさしている人がたくさんいるのを見て(根拠)】雨が降っているようだ。/#降っていそうだ。
例)【空の様子から(根拠/外観)】これから雨が降るようだ/降りそうだ。
例)【部屋は静かだ(根拠)】子どもは寝ているようだ。/#子どもは寝ていそうだ。
例) 本がたなから(いつかわからないけど、これから)落ちるようだ。/本がたなから(もうすぐ)落ちそうだ。
例)電気がついている【根拠】。山田さんはいるようだ。/#山田さんはいそうだ。
※「そうだ」(様態)と「だろう」の違い
・【前接】
「そうだ」:V連用形(ます形)⑥[動詞活用] 、A(い、な)(Nとは使えない;過去形には接続しない)
「だろう」:V普通体/A普通体/N⑩[文体]
・【意味】
「そうだ」
Vそうだ :①話し手の判断・予想
②できごとがこれから(すぐ/今にも)起こる可能性【直前】
Aそうだ:外観からの今の様子についての推測
「だろう(でしょう)」:話し手の推測(根拠があってもなくてもよい)
例)【日本語がわからない(根拠)/そう思うだけ(根拠はない)】あの人は外国人だろう(でしょう)。
例)【外観の様子から】田中さんはひまそうだ。
例)【そう思うだけ】田中さんはひまだろう(でしょう)。
例)【空の様子から(根拠/外観)】きょうは雨が降りそうだ。
例)【そう思うだけ】きょうは雨が降るだろう(でしょう)。
まとめ
前接 | 後続 | 意味 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
V/A/N | 過去形 | N/V | 伝聞 | 根拠からの 判断/推量 | 兆候(外観)からの 判断/推量 | 比況 | |
そうだ 【伝聞】 | V/A/N | 〇 | × | 〇 | |||
らしい | V/A/N | 〇 | N/V | 〇 | 〇 | 〇 | |
ようだ (ような) | V/A/N | 〇 | N/V | 〇 | 〇 | ||
そうだ (そうな) 【様態】 | V/A | × | N/V | 〇 | |||
だろう | V/A/N | 〇 | × | 根拠があってもなくてもよい |
きょうは、雨が降るそうだ。←他から得た情報(客観的な根拠・証拠)【伝聞】
きょうは、雨が降るらしい。←他から得た情報(客観的な根拠・証拠)に話し手の判断を加える【伝聞+判断】
きょうは、雨が降るようだ。←話し手の判断・推量【判断/推量】
きょうは、雨が降りそうだ。←徴候の存在のもとで(見たままの様態から)の話し手の判断・予想【判断/予想】
きょうは、雨が降るだろう。←推測/推量(根拠がなくてもよい)【推測/そう思うだけ】
コラム
➣後続:N(名詞)/V(動詞)に接続できる
・~そうなN
例)おいしそうなケーキ
・~そうにV
例)おいしそうに食べる
➣否定形
・(V/A)なさそうだ:できごと/様子を否定する
例)この料理はおいしくなさそうだ。
例)きょうは雨が降らなさそうだ。
・Vそうに(Vそうも)ない:できごとが起こる可能性が非常に低い(ほぼない)
例)きょうは雨が降りそうに(降りそうも)ない。
➣他人の感情について述べるときは、一般的に「Aそうだ」を使う。それは、他人の感情(内面)を確実に知り得ないためである。
例) 田中さんはうれしそうだ。
例)#田中さんはうれしい。
➣「そうだ」と使いにくい形容詞
きれいな、ゆうめいな、しずかな
あかい、あおい、しろい(色の形容詞)
➣「Vそうだ」は、話し手の意志的行為には使えない。
例)#私はこの料理は食べそうだ。【意志的行為】
例) 私はこの料理は食べられそうだ。【無意志的行為】
確認問題
1 【テストを見ながら】このテストは{a.むずかしそうだ b.むずかしいそうだ}。
2 A:田中さんに聞いたんだけど、山田さんは、来月、留学に{a.行きそうだ b.行くそうだ}。 B:ええ、そうなんだ。
3 あの二人、{a.楽しそうな b.楽しそうに}話している。
確認問題の説明
1 cf.機能1
2 cf.機能1
3 cf.コラム