日本語参照文法

初級日本語文法の総まとめ

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89ば

89[ば]

基本情報

1.旧JLPT該当級:3
2.品詞: 接続助詞(接続詞)【用語の説明】
3.前接:V(動詞)-e⑥[動詞活用] 、いA(形容詞)→(けれ、なA(形容詞)/N(名詞)なら(ば)【用語の説明】
4.意味: 仮定・条件

使い分けが必要な文法・文型

・たら41[たら]
・と65[と] ②
・なら78[なら]

文型を使う上で理解が必要な情報

前件/後件⑬[文のタイプ]
 前件=2節からなる複文の前の節
 後件=2節からなる複文の後の節

機能

機能1:仮定・条件

用法1★【仮定条件】:事実と違うことを仮定する

機能1用法1用例:

例1.(もし)あした、雨が降れば、ピクニックは中止だ。
例2.(もし)暑ければ、エアコンをつけてください。
例3.(もし)あした、ひまなら(ば)、映画を見に行きませんか。
例4.(もし)いい人なら(ば)、結婚してもいい。

機能1用法1と使い分けが必要な文法・文型:

・たら
・なら

機能1用法1と使い分けが必要な文法・文型の用例

例5.(もし)あした、雨が降ったら、ピクニックは中止だ。
例6.(もし)あした、雨が降らなかったら、ピクニックに行こう。
例7.(もし)日よう日、ひまだったら、遊びに来てください。
例8.(もし)田中さんもパーティーに行くなら、私も行く。
「たら」「なら」「ば」の使い分けについて、ページの下の「機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い」を参照

用法2★【一般的条件(必然的な関係)】:恒常的な依存関係

機能1用法2用例:

例9.このボタンを押せば、ジュースが出る。
例10.春になれば、さくらの花が咲く。

機能1用法2と使い分けが必要な文法・文型:

・と

機能1用法2と使い分けが必要な文法・文型の用例

例11.このボタンを押すと、ジュースが出る。
例12.春になると、さくらの花が咲く。
「と」「ば」の使い分けについて、ページの下の「機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い」を参照

用法3★★【反事実】:実際に起こった(起こらなかった)ことを仮定して、その場合、「こうなっただろう」ということを仮定する。仮定することは現実と異なる。

※後件の「V」は、
※後件に「だろう」、「はず」、「のに」をよく使う。

機能1用法3用例:

例13.【仮定】あの飛行機に乗っていれば、死んでいた(だろう)。→【現実】あの飛行機に乗らなかったので、死ななかった。
例14.【仮定】あと10分早く家を出ていれば、電車に間に合った(のに)。→【現実】10分早く家を出なかったので、電車に間に合わなかった。

機能1用法3と使い分けが必要な文法・文型:

・たら
・なら

機能1用法3と使い分けが必要な文法・文型の用例

例15.あの飛行機に乗っていたら、死んでいた(だろう)。
例16.あと10分早く家を出ていたら、電車に間に合った(のに)。
例17.あのとき、私も行っていたなら、田中さんに会えた(のに)。
「たら」「なら」「ば」の使い分けについて、ページの下の「機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い」を参照

機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い:

・「と」:一般的条件(必然的な関係);習慣・反復;発見
①前件と後件に時間的前後関係がある:前件→後件(例11)
②反復性のあるできごと(例12)
③後件に意志表現が使われない
④話しことばでも書きことばでも使われる
・「なら」:主題(「は」と同じ);仮定条件;反事実
①前件と後件に時間的前後関係はない(例8)
②後件に意志表現を使うことができる
 例)田中さんが行くなら、私も行きたい。
③話しことばでも書きことばでも使われる
・「たら」:仮定条件;確定条件;発見;反事実;※一般的条件(必然的な関係);※習慣・反復
①前件と後件に時間的前後関係がある:前件→後件(例5)
②1回のできごと
③後件の形式に意志表現が使える(例6)
④話しことばでも書きことばでも使われるが、「改まった文体」では使われない
※話しことばでは、「一般条件」にも「習慣・反復」にも使える
 例)30歳を超えたら、おばさんになっている。
・「ば」:仮定条件;一般的条件(必然的な関係);習慣・反復;反事実
①前件と後件に時間的前後関係がある:前件→後件(例9,例10)
②1回のできごとにも反復性のある出来事にも使える
 例)あした、雨が降れば、さんぽに行かない。→1回のできごと
 例)春になれば、桜が咲く。→反復性のあるできごと
③後件に意志表現が使われない
※ただし、前件が状態の場合は、使える。
 例)お金があれば、旅行に行きたい。
 例)あした、ひまなら(ば)、映画を見に行きたい。
 例)いい人なら(ば)、結婚してください。
④書きことば(「改まった文体」)でよく使われる


               まとめ

たらなら
仮定条件
確定条件(あとで)
一般的条件(必然的な関係)
発見
反事実
1回のできごと
習慣・反復
話ことばで使われる
書きことばで使われる
前件と後件に時間的前後関係がある
後件の形に意志表現が使える 


〈形式の置き換えが可能な場合〉
【3つの形式】
・「たら」、「ば」、「なら」:仮定条件
例)雨が降ったら行かない。
例)雨が降れば行かない。
例)雨なら行かない。
・「たら」、「ば」、「なら」:反事実
例)あのとき、私も行っていたら、田中さんに会えた(のに)。
例)あのとき、私も行っていれば、田中さんに会えた(のに)。
例)あのとき、私も行っていたなら、田中さんに会えた(のに)。

【2つの形式】
・「と」、「ば」:反復
例)ここは、冬になると、いつも大雪が降る。
例)ここは、冬になれば、いつも大雪が降る。
・「たら」、「と」:発見・おどろき
例)部屋に入ったら、ネコがいた。
例)部屋に入ると、ネコがいた。
・「と」、「ば」:一般的条件(必然的な関係)
例)春になるとさくらが咲く。
例)春になればさくらが咲く。

【1つの形式】しか使えない
・「たら」:確定条件(あとで)
例)クラスが終わったら、映画を見に行く。
・「たら」:一般的条件(必然的な関係)
※後件が「悪い結果」の場合、「」が使えない。
 例)これを飲んだら、もっとお腹が痛くなりますよ。〇
 例)これを飲めば、もっとお腹が痛くなりますよ。×
※後件が「いい結果」の場合、「たら」も「」も使える。
 例)この薬を飲んだら、お腹が治りますよ。〇
 例)この薬を飲めば、お腹が治りますよ。〇
・「なら」:主題
例)すしなら、「タマずし」がおいしい。
・「なら」:前件と後件の時間的前後関係が逆になっている
例)引っ越しするなら、そろそろ、部屋を探したほうがいい。【あとにする】前件(引っ越しする)←【さきにする】後件(部屋を探す)
cf.「たら」と「なら
例)飲んだら、乗るな。【さきにする】前件(飲む)→【あとにする】後件(乗る)
例)乗るなら、飲むな。【あとにする】前件(乗る)←【さきにする】後件(飲む)

コラム

➣「ば」を使った表現
・「Vばいい」:①勧めや助言 ②願望
例)Q:旅行には、何を持っていけばいいですか。 A:ぼうしを持っていけばいいです。←①
例)あした、晴れればいいですね。←②

➣「Vなければ」のくだけた言い方:「Vなきゃ
例)毎日、勉強しなきゃ、合格できない。

➣前置きの用法:後に続く発話の前置きとして、注意を引くために使う。決まった語と一緒に使うことが多い。
例)よろしければ、このお茶を飲んでみてください。
例)簡単に言えば、次のようなことです。

89ば.txt · 最終更新: 2024/04/01 14:59 by kaken

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