目次
41[たら]
基本情報
使い分けが必要な文法・文型
文型を使う上で理解が必要な情報
・前件/後件⑬[文のタイプ]
前件=2節からなる複文の前の節
後件=2節からなる複文の後の節
機能
機能1:仮定・条件
用法1★【仮定条件】:未来のできごとについて、前件のできごと(~たら)が成立するときに、後件のできごとも成立する。前件のできごとが成立しないときには、後件のできごとも成立しない。
機能1用法1用例:
例1.(もし)あした、雨が降ったら、ピクニックは中止だ。
例2.(もし)あした、雨が降らなかったら、ピクニックに行こう。
例3.(もし)暑かったら、エアコンをつけてください。
例4.(もし)日よう日、ひまだったら、遊びに来てください。
例5.(もし)あした、いい天気だったら、山に行く。
機能1用法1と使い分けが必要な文法・文型:
・と
・ば
・なら
機能1用法1と使い分けが必要な文法・文型の用例
例6.このボタンを押すと、ジュースが出る。
例7.春になると、さくらの花が咲く。
例8.(もし)あした、雨が降れば、ピクニックは中止だ。
例9.(もし)暑ければ、エアコンをください。
例10.(もし)田中さんもパーティーに行くなら、私も行く。
※「たら」「と」「ば」「なら」の使い分けについて、ページの下の「機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い」を参照
用法2★【確定条件】(あとで):前件のVの行為(~たら)が完了したあと、後件のVの行為をする。
※「V」のみを使う
機能1用法2用例:
例11.授業が終わったら、映画を見に行く。
例12.夏休みになったら、国へ帰る。
機能1用法2と使い分けが必要な文法・文型:
・Vたあとで
・Vてから
機能1用法2と使い分けが必要な文法・文型の用例
例13.授業が終わったあとで、映画を見に行く。
例14.授業が終わってから、映画を見に行く。
※「たら」「Vたあとで」「Vてから」の使い分けについて、ページの下の「機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い」を参照
用法3★★【発見・おどろき】:話し手が予想しなかったことを伝える
※後件の「V」は、た形
機能1用法3用例:
例15.部屋に入ったら、ネコがいた。
例16.窓を開けたら、虫が入ってきた。
機能1用法3と使い分けが必要な文法・文型:
・と
機能1用法3と使い分けが必要な文法・文型の用例
例17.部屋に入ると、ネコがいた。
例18.窓を開けると、虫が入ってきた。
※「たら」「と」の使い分けについて、ページの下の「機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い」を参照
用法4★★【反事実】:実際に起こった(起こらなかった)ことを仮定して、その場合、「こうなっただろう」ということを仮定する。仮定することは現実と異なる。
※後件の「V」は、た形
※後件に「だろう」、「はず」、「のに」をよく使う。
機能1用法4用例:
例19.【仮定】あの飛行機に乗っていたら、死んでいた(だろう)。→【現実】あの飛行機に乗らなかったので、死ななかった。
例20.【仮定】あと10分早く家を出ていたら、電車に間に合った(のに)。→【現実】10分早く家を出なかったので、電車に間に合わなかった。
機能1用法4と使い分けが必要な文法・文型:
・ば
・なら
機能1用法4と使い分けが必要な文法・文型の用例
例21.あの飛行機に乗っていれば、死んでいた(だろう)。
例22.あと10分早く家を出ていれば、電車に間に合った(のに)。
例23.あのとき、私も行っていたなら、田中さんに会えた(のに)。
※「たら」「ば」「なら」の使い分けについて、ページの下の「機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い」を参照
機能1と使い分けが必要な文法・文型の違い:
1)「と」・「ば」・「なら」と「たら」
・「と」:一般的条件(必然的な関係);習慣・反復;発見
①前件と後件に時間的前後関係がある:前件→後件(例6)
②反復性のあるできごと(例7)
③後件に意志表現が使われない
④話しことばでも書きことばでも使われる
・「ば」:仮定条件;一般的条件(必然的な関係);習慣・反復;反事実
①前件と後件に時間的前後関係がある:前件→後件(例8,例9)
②1回のできごとにも反復性のある出来事にも使える
例)あした、雨が降れば、さんぽに行かない。→1回のできごと
例)春になれば、桜が咲く。→反復性のあるできごと
③後件に意志表現が使われない
※ただし、前件が状態の場合は、使える。
例)お金があれば、旅行に行きたい。
例)あした、ひまなら(ば)、映画を見に行きたい。
例)いい人なら(ば)、結婚してください。
④書きことば(「改まった文体」)でよく使われる
・「なら」:主題(「は」と同じ);仮定条件;反事実
①前件と後件に時間的前後関係はない(例10)
②後件に意志表現を使うことができる
例)田中さんが行くなら、私も行きたい。
③話しことばでも書きことばでも使われる
・「たら」:仮定条件;確定条件;発見;反事実;※一般的条件(必然的な関係);※習慣・反復
①前件と後件に時間的前後関係がある:前件→後件(例11)
②1回のできごと
③後件の形式に意志表現が使える(例2)
④話しことばでも書きことばでも使われるが、「改まった文体」では使われない
※話しことばでは、「一般条件」にも「習慣・反復」にも使える
例)30歳を超えたら、おばさんになっている。
まとめ
たら | と | ば | なら | |
仮定条件 | 〇 | 〇 | 〇 | |
確定条件(あとで) | 〇 | |||
一般的条件(必然的な関係) | △ | 〇 | 〇 | |
発見 | 〇 | 〇 | ||
反事実 | 〇 | 〇 | 〇 | |
1回のできごと | 〇 | |||
習慣・反復 | △ | 〇 | 〇 | |
話ことばで使われる | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
書きことばで使われる | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
前件と後件に時間的前後関係がある | 〇 | 〇 | 〇 | |
後件の形に意志表現が使える | 〇 | △ | 〇 |
〈形式の置き換えが可能な場合〉
【3つの形式】
・「たら」、「ば」、「なら」:仮定条件
例)雨が降ったら行かない。
例)雨が降れば行かない。
例)雨なら行かない。
・「たら」、「ば」、「なら」:反事実
例)あのとき、私も行っていたら、田中さんに会えた(のに)。
例)あのとき、私も行っていれば、田中さんに会えた(のに)。
例)あのとき、私も行っていたなら、田中さんに会えた(のに)。
【2つの形式】
・「と」、「ば」:反復
例)ここは、冬になると、いつも大雪が降る。
例)ここは、冬になれば、いつも大雪が降る。
・「たら」、「と」:発見・おどろき
例)部屋に入ったら、ネコがいた。
例)部屋に入ると、ネコがいた。
・「と」、「ば」:一般的条件(必然的な関係)
例)春になるとさくらが咲く。
例)春になればさくらが咲く。
【1つの形式】しか使えない
・「たら」:確定条件(あとで)
例)クラスが終わったら、映画を見に行く。
・「たら」:一般的条件(必然的な関係)
※後件が「悪い結果」の場合、「ば」が使えない。
例)これを飲んだら、もっとお腹が痛くなりますよ。〇
例)これを飲めば、もっとお腹が痛くなりますよ。×
※後件が「いい結果」の場合、「たら」も「ば」も使える。
例)この薬を飲んだら、お腹が治りますよ。〇
例)この薬を飲めば、お腹が治りますよ。〇
・「なら」:主題
例)すしなら、「タマずし」がおいしい。
・「なら」:前件と後件の時間的前後関係が逆になっている場合
例)引っ越しするなら、そろそろ、部屋を探したほうがいい。【あとにする】前件(引っ越しする)←【さきにする】後件(部屋を探す)
cf.「たら」と「なら」
例)飲んだら、乗るな。【さきにする】前件(飲む)→【あとにする】後件(乗る)
例)乗るなら、飲むな。【あとにする】前件(乗る)←【さきにする】後件(飲む)
2)「Vたあとで」・「Vてから」と「たら」
「Vたあとで」・「Vてから」:時間的前後関係
「たら」:時間的前後関係+条件
例)ごはんを食べたあとで、「ごちそうさまです」と言います。→ごはんを食べる。そのあと、「ごちそうさまです」という。
例)ごはんを食べてから、「ごちそうさまです」と言いなさい。→ごはんを食べてからでないと、「ごちそうさまです」とは言えない。
例)ごはんを食べたら、「ごちそうさまです」と言います。→ごはんを食べることが「ごちそうさまです」をいうための条件だ。
コラム
➣「たら」を使った表現
・「Vたらいい」:①勧めや助言 ②願望
例)Q:旅行には、何を持っていったらいいですか。 A:ぼうしを持っていったらいいです。←①
例)頭がいたいならもう帰ったらいいです。←①
例)あした、天気になったらいいですね。←②
・「Vたらどう」:助言
例)頭がいたいなら、もう帰ったらどう?
➣「たら」と「ても」61[ても/でも]
例)時間があっても、行きません。
例)時間があったら、行きます。
確認問題
1 田中さんに{a.会ったら b.会えば}、「よろしく」と言ってください。
2 本を読み{a.おわると b.おわったら}、返してください。
3 料理を{a.作ったら b.作るなら}、作り方を調べておけばいい。
4 スーパーに{a.行けば b.行ったら}、先生に会った。
5 {a.もし3時になったら行きましょう b.3時になったら行きましょう}。
確認問題の説明
1 cf.機能1用法2
2 cf.機能1用法2
3 cf.〈形式の置き換え〉
4 cf.機能1用法3
5 cf.機能1用法2